くずは相続・遺言・成年後見相談センター 佐藤好恵行政書士事務所

コラム

~終末期の医療・葬儀・埋葬等の意思表示の大切さ~

昨年の出来事になりますが、私が後見人として支援していたAさんが亡くなりました。Aさんには子供がなく、ご主人も既に他界され、何十年も連絡を取っていないご兄弟が遠方にいらっしゃるだけでした。介護度も高かったことから、介護付の老人施設で生活されていました。
当方が後見人に就任後、幸い姉のBさんと連絡が取れるようになりましたが、Bさんは高齢で足腰も弱く、遠方にお住まいだったことから、大阪までお越しいただくことは難しく、電話と郵便のやり取りしかできませんでした。
そんな中、Aさんの持病が悪化し、何度か救急搬送されることがありました。その際に必ず救急隊員の方から「延命治療が必要になったらどうしますか?」と質問を受けます。しかし、後見人は医療行為に同意することができません。ですので姉のBさんに電話し「延命治療は不要」の意思をお聞きして病院に伝えることしかできませんでした。果たしてそれがごAさんの望まれた方針だったのか、確信が持てず悩みました。
また、お亡くなりになった後の葬儀についても、Bさんは執り行えないとのことから、Bさんに依頼され当方で執り行わせていただきました。Bさんに電話で葬儀内容の希望を確認し、結果、極々小規模な葬儀となりました。その際も「Aさんは本当はどういった葬儀を望まれていたんだろう。参列して欲しい方がいらっしゃったのではないか。」とモヤモヤした気持ちが残りました。
こういった経験から、元気なうちに「医療行為についてどういった治療を受けたいのか」、「葬儀はどれくらいの規模で、誰に声をかけて欲しいのか」、「どこに埋葬して欲しいのか」等の意思表示を、エンディングノート等、書面で残るようにしておくことの大切さを痛感しました。こういった書面があれば、家族や周囲でお世話をする皆さんが、迷わず「これが本人の希望していた形だ!」と確信をもって、医療機関に伝えたり、葬儀等の手続きを進めることができますし、またご自身も最後まで自分らしく、自分の望む形で過ごしていけるのではないでしょうか。お元気な内は「まだまだ先」と中々想像がつかず、書きづらい内容かと思いますが、落ち着いてじっくり考える気持ちの余裕があるお元気な内にこそ、是非ご検討いただければと思います。

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