コラム
本年の3月末に法務省から発表された、相続の手続きを簡素化する新制度「法定相続情報証明制度」が5月29日からスタートしました。発表された際は、新聞でも『相続手続き簡素化へ』と記事が掲載されていました。
相続手続きを進めるためには、相続人を確定するための戸籍や除籍謄本等一式を収集し、銀行等金融機関や法務局にそれぞれ提出しなければなりません。
新制度では、上記戸籍・除籍謄本等一式を法務局に提出し確認を受ければ、被相続人と相続人全員の氏名や生年月日、続き柄等の情報を1枚まとめた証明書が無料で発行されるとしています。
法務局で発行された、この証明書を各銀行等に提出することで、今まで必要だった戸籍・除籍等一式の提出が不要になることから『相続手続きの簡素化』と新聞等で紹介されているようです。ただ、
① 新制度を利用するとしても、法務局に提出するために必ず相続人を確定するための戸籍・除籍謄本等を1セットは収集する必要があること(←この作業を省略することはできない)。
② 実務上、各金融機関の相続手続きでは、戸籍・除籍謄本等を窓口に提出すると、コピーをとって返却してもらえること(←現状でも戸籍・除籍謄本等は1セットあれば足りる)。
を考えると、相続人側にとって『簡素化』という表現は適切なのだろうかと専門家としては感じます。
では、この制度に全くメリットがないのかと言えば決してそうではありません。
上記②について、現在は各金融機関窓口での、戸籍の内容確認やコピーをとるための作業に時間かかっており、当方も毎回各銀行で1時間近くは待つことになります(長いところでは2時間弱かかったことも)。「1日で全ての銀行を回ろう!」と思っていても、3日間程はかかるということがほとんどです。
こういった面で、今後、この証明書1枚で済むのであれば、銀行側は確認作業が直ぐに済み、客側は待ち時間が短くなる、ということで『時短』のメリットは大きいと思います。
行政書士は『法定相続情報証明制度』利用のお手伝いをすることができますので、ご興味のある方は是非ご相談ください。