コラム
「空き家になっている田舎の実家があるのですが、誰も相続したがりません。仕方なく、長男の自分が月にに1回、様子を見に行き、ご近所迷惑にならないよう、定期的な草刈り等しています。大きな台風の後、瓦がはがれていたこともあり修理はしましたが、今後、瓦が飛んでお隣さんに被害を与えないか等、日々不安です。こういった手間や不安に加え、固定資産税の負担もあるので相続人皆、売却したいと思っているのですが、全く買い手が見つからなくて…」といったご相談を度々お聞きします。同じようなお悩みをお持ちの方、かなりいらっしゃるのではないでしょうか?
そういった方々のご参考に、『相続土地国庫帰属制度』をご紹介します。この制度は「相続した土地が不要な場合に、下記の要件を満たしていれば土地を手放し国庫に帰属させることを可能とする制度」です。
(施行は令和5年4月27日ですので、申請いただけるのは少し先になります。)
《要件》 …下記のいずれにも該当しないこと
① 建物の存する土地
② 担保権または使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地
③ 通路その他の他人による使用が予定される土地として政令で定めるものが含まれる土地
④ 土壌汚染対策法上の特定有害物質により汚染されている土地
⑤ 境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地
⑥ 崖(政令で定める基準有)のある土地のうち、通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要するもの
⑦ 土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地
⑧ 除去しなければ土地の通常の管理又は処分をすることができない有体物が地下に存する土地
⑨ 隣接する土地の所有者等と訴訟によらなければ通常の管理又は処分をすることができない土地として政令で定めるもの
⑩ その他通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地として政令で定めるもの
これらの要件審査を経て承認された申請者は、10年分の土地管理費用相当額の『負担金』を国に納付することで、土地は国庫に移転します。(納付金の目安:市街地の宅地(200㎡)約80万円、粗放的な管理で足りる原野約20万円)
土地に建物がある場合は解体が必要になる等のご負担や、その他様々な要件はありますが、要件をクリアできそうであればご検討いただくのも良いかもしれません