コラム
振り込め詐欺、不当に高額な訪問販売から手の込んだ劇場型投資詐欺まで高齢者を狙う消費者トラブルは後を絶ちません。特にお一人暮らしの高齢者が最も被害にあわれています。全国消費生活相談員協会によると、離れて暮らす親について子供から相談を受けるピークは年3回「年末年始・ゴールデンウィーク・お盆」だそうです。帰省した際に初めて状況を知るということでしょう。
こういった被害を防ぐために、子供ができることで最も大切なのは「離れていてもコミュニケーションを欠かさないこと」です。密にコミュニケーションをとることで2つの大きな効果が生まれます。
1つめの効果は親に寂しい思いをさせないため、「悪徳な販売員が高齢者と擬似的な家族関係をつくり孤独に付け込む」という高齢者に特有の被害パターンを防ぐことができます。被害にあわれた方には「親身になって話を聞いてくれたからつい」と言われる方も多いです。日頃のコミュニケーションで親子関係がしっかりしている場合は、遠方で暮らしていてもこういった被害に巻き込まれるケースは少ないようです。
2つめの効果は日頃の行動パターンや交友関係を知ることで、些細な生活の変化にも気づきやすくなれることです。聞き慣れない人の名前が出たり、外出先が頻繁に出てくるようであれば、商品説明会などの勧誘に会っている可能性もあります。
コミュニケーション以外にも、被害を防ぐために有効なことはあります。
①『身近な協力者』をつくること。親のご近所の方と連絡を取り合える関係を築き「知らない人が出入りしている」等の情報を知らせてもらえるようにします。
②『叱らない』こと。 頭ごなしに批判されたり叱られると、「叱られるくらいなら黙っていよう」と秘密にされ被害が拡大することもあります。「今度何かあれば相談して」と優しく諭す方が有効です。
③『こんなものあったかな?』見慣れない商品やパンフレットがないかさりげなく確認することです。
「怪しい」「だまされた」と気が付いた場合は、自治体などの消費生活相談窓口に相談すると、一定期間内であればクーリングオフ制度等の活用法を教えてくれます。
また、認知症などで判断能力が不十分となり被害を繰り返すようなケースでは、成年後見制度を利用することで解決できることもあります。