コラム
法改正により2015年1月から相続税の基礎控除額が現行の6割に引き下げられることで、「将来相続税がかかりそうだ」とご心配されている方が増えています。
現行では、相続人が妻と子2名の場合、相続財産が8,000万円以下なら相続税はかかりませんが、改正後は4,800万円以下でなければ相続税が発生することになり、都市部などに居住されている方にとっては、もし納税資金が十分になければ最悪の場合、住み慣れた自宅を手放さなければならないという深刻な問題です。
そんな方に、是非知っておいていただきたい制度が『小規模宅地に関する特例制度』です。
この制度は、一定の条件を満たず場合、居住用宅地等の評価額を80%減額できるもので、例えば評価額5,000万円の宅地も、1,000万円と評価し相続税を計算できることになり、特例が利用できるか否かで払うべき相続税額に大きな違いが出てきます。
条件として、相続・遺贈で宅地を取得した者が、①被相続人の配偶者 ②被相続人と同居していた親族(相続開始の時から相続税の申告期限まで、引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を相続税の申告期限まで有している人)③被相続人と同居していない親族で一定の要件を満たす者である必要があります。
居住用宅地の場合、現在は240m²までを適用対象面積として減額していますが、今回の法改正により2015年からは対象面積が330m²に拡大されることになりました。
また現在の「二世帯住宅は内部で行き来できる構造でなければ利用不可」と「有料老人ホームの終身利用権を取得した入所は利用不可」という要件が、2014年からは、より緩和され利用しやすくなります。
特例を受けるためには、相続税の申告期限までに『誰が宅地を取得するのか』が決まっている必要があります。財産の分割方法について争っていると、期限に間に合わず折角の特例が利用できなくなってしまいます。『もめない対策』も非常に重要になりますね。