コラム
昨年1月からの税制改正により相続税の負担が増えることから、節税対策として「タワーマンション節税」という方法が注目されていました。
マンションの相続税は土地については敷地全体の路線価に、その部屋の持ち分割合をかけて計算します。タワーマンションの場合、戸数が多いため1戸あたりの土地の持ち分が小さくなることから、土地の評価額も低くなります。また、建物については、固定資産税評価額を基準とするのですが、固定資産税評価額は、住戸の方角(南向きか北向きか)や階数(低層階か高層階か)に関わりなく、専有面積によって一律に決まります。
高層階の住戸は一般的に低層階の住戸より売買価格は高額であることが多いので、より市場価値の高い高層階の物件を購入し、相続後に売却することで現金を相続した場合に比べ大幅に相続税を低く抑えられるということで、富裕層を中心にタワーマンションを購入するこういった対策が広まっていました。
昨年11月の新聞記事によると、これに対し国税庁は「富裕層にしか活用できない節税方法であり、税負担の公平を著しく害する恐れがある」として、行き過ぎた節税行為には相続税を追徴課税する方針のようです。例えば相続開始直前に購入されたタワーマンションが、購入者の死後、相続人によって短期間で売却されるといったケースなどが追徴課税の対象になるとみられています。
国税庁の財産評価の通達には「著しく不適当と認められる評価額は国税庁長官の支持を受けて評価する」との例外項目があり、以前にも売買価格を評価額として課税された例はあるそうです。
タワーマンションの評価については、今後実際にどう判断されていくのかは分かりませんが、上記の例のように「購入後、自身が居住したり、他人に賃貸したりすることなく、ほとんど使用せず売却」等のやり過ぎた節税は控えた方が無難かもしれません。